その後、五人で他愛ないことを喋りながら軽くお昼を済ませて、クラゲを見てからお土産屋に入った。私とふーちゃんはともかく、男子高校生三人が水族館のお土産コーナーで一体何を物色するんだろう、と思えば、三人はカップの前で立ち止まっていた。キャラクター調の生き物の顔がそのまま柄になってるカップだ。
「これ第六西に置かない? ジンベエ可愛いし」
「取っ手がないと飲みにくくないか」
「でもマグカップと違ってかさばらねーな。数も丁度いんじゃね?」
見間違えでなければどう見ても可愛らしすぎるカップを三人で吟味し始めた。あの三人、何気に可愛いもの大好きだな!
そんな三人に背を向けてコーナーを物色していると、ふーちゃんはぬいぐるみの前でうんうん呻っていた。マンボウとジンベエザメを交互にじろじろと見ている。
「ねー、亜季はどっちがいいと思う?」
「折角だからジンベエザメかな」
「うーん、そうなんだよねぇ……でもやっぱりマンボウのほうが持ったときにシュールかなって……」
「……因みにお土産と自分用どっちなの?」
「深古都のお土産」
シュールという単語を聞いて察してしまったけれど、やはりそうか。ふーちゃんに散々おもちゃにされているのだろう深古都さんのことを思うと、心でそっと涙を拭わずにはいられない。
「亜季は? 何か買わないの?」
「んー、あんまり欲しいものないかなって……」
「どうせなら桐椰くんとお揃いとか買いなよー」
御三家の中で特定されたことに怪訝な顔をしたけれど、ふーちゃんは何も続けずにマンボウを抱えて歩き出し、近くにあったキーホルダーを手に取った。続きを促すためについていって、思わず私もイルカのキーホルダーを手に取ってしまう。誕生日の刻印入りだった。
「あ、深古都の誕生日はっけーん」
「……ねぇふーちゃん」
「ん?」
「……なんで桐椰くん?」
「なんでって。だって亜季、桐椰くんのこと好きじゃん」
思わず売り物のキーホルダーを引きちぎってしまうところだった。ふーちゃんの言い方はあまりに軽々しくて、下手したら「だって亜季、アイス好きじゃん?」と同じくらいの軽さだった。
「え……いや、あの……なんで……」
「えー、だって月影くんと一緒に見たもん。二人がずっとジンベエザメの水槽の前にいるの」
「これ第六西に置かない? ジンベエ可愛いし」
「取っ手がないと飲みにくくないか」
「でもマグカップと違ってかさばらねーな。数も丁度いんじゃね?」
見間違えでなければどう見ても可愛らしすぎるカップを三人で吟味し始めた。あの三人、何気に可愛いもの大好きだな!
そんな三人に背を向けてコーナーを物色していると、ふーちゃんはぬいぐるみの前でうんうん呻っていた。マンボウとジンベエザメを交互にじろじろと見ている。
「ねー、亜季はどっちがいいと思う?」
「折角だからジンベエザメかな」
「うーん、そうなんだよねぇ……でもやっぱりマンボウのほうが持ったときにシュールかなって……」
「……因みにお土産と自分用どっちなの?」
「深古都のお土産」
シュールという単語を聞いて察してしまったけれど、やはりそうか。ふーちゃんに散々おもちゃにされているのだろう深古都さんのことを思うと、心でそっと涙を拭わずにはいられない。
「亜季は? 何か買わないの?」
「んー、あんまり欲しいものないかなって……」
「どうせなら桐椰くんとお揃いとか買いなよー」
御三家の中で特定されたことに怪訝な顔をしたけれど、ふーちゃんは何も続けずにマンボウを抱えて歩き出し、近くにあったキーホルダーを手に取った。続きを促すためについていって、思わず私もイルカのキーホルダーを手に取ってしまう。誕生日の刻印入りだった。
「あ、深古都の誕生日はっけーん」
「……ねぇふーちゃん」
「ん?」
「……なんで桐椰くん?」
「なんでって。だって亜季、桐椰くんのこと好きじゃん」
思わず売り物のキーホルダーを引きちぎってしまうところだった。ふーちゃんの言い方はあまりに軽々しくて、下手したら「だって亜季、アイス好きじゃん?」と同じくらいの軽さだった。
「え……いや、あの……なんで……」
「えー、だって月影くんと一緒に見たもん。二人がずっとジンベエザメの水槽の前にいるの」