「何が“のだよ”だ。君に心配されるくらいならネズミにでも心配されたほうが有り難い」
「酷くない? っていうかやっぱりイヤホンしても聞こえてたんじゃん!」
「で、君が俺の何を心配すると?」
「だから聞こえてたよね? ほらー、今月入ってから松隆くんが闇討ちされる事件あったじゃん。ツッキーも危ないんじゃないのって話だよー」
「だから君にそんな心配をされる謂れはないんだが」
「だから感じ悪くない? 人が折角心配してるのに」
「厚意の押し付けだと気づかないのか」
「感じ悪っ! あ、ちょっとツッキー何してんの!」
散々無視した挙句荷物を片付け始めるときた。あれ? 前にもこんなことあった気がするな。気のせいかな。……もしかしてツッキーに雑絡みするときはいつもかな。
「ツッキー……」
「だからなんだ。しつこいぞ」
「そんなこと言ってると誰もツッキーの心配しなくなるんだからね。ツンケンしてるのがクールでかっこいいんだと思ってるなら大間違いだからね!」
月影くんは無視したままずんずん速足で歩く。まずい、このままでは今すぐ学校を出ることになってしまうどころか校門まで出てしまう。ちらっと見た時計の針が指すのはまだ六時前。夕食にはまだ早い……!
「……ツッキー、一緒に晩ご飯たーべよ」
「断る」
「なんで!」
「彼氏と一緒に食べたらどうだ」
食事はおいしくとりたい派なので、と言いたくなるのをぐっと堪えた。大体、月影くんに断られるのは八割方想定済みだったので一人でも全然構わない。因みに二割は「は?」と言われると思っていた。
「そもそも急に夕食とはなんだ」
「今日要らないって家に言っちゃって」
「君は馬鹿なのか? この時間に誘われれば家にそう伝えていることなど容易に把握できる。一緒に夕食をとる友人もいない君にとってあえて家で夕食をとらないという選択は、何らかの理由で家に帰らないことだけを決めた上での前提行動に過ぎない。その“何らかの理由”の中身を聞いている」
「ツッキーって言わなくてもいい本当のことでグサグサ刺してくるよね」
というか、さっきの月影くんのセリフでそこまで想定して返事しろなんて土台無理な話だ。松隆くん達はそれをやってのけちゃうのかもしれないけど。
「酷くない? っていうかやっぱりイヤホンしても聞こえてたんじゃん!」
「で、君が俺の何を心配すると?」
「だから聞こえてたよね? ほらー、今月入ってから松隆くんが闇討ちされる事件あったじゃん。ツッキーも危ないんじゃないのって話だよー」
「だから君にそんな心配をされる謂れはないんだが」
「だから感じ悪くない? 人が折角心配してるのに」
「厚意の押し付けだと気づかないのか」
「感じ悪っ! あ、ちょっとツッキー何してんの!」
散々無視した挙句荷物を片付け始めるときた。あれ? 前にもこんなことあった気がするな。気のせいかな。……もしかしてツッキーに雑絡みするときはいつもかな。
「ツッキー……」
「だからなんだ。しつこいぞ」
「そんなこと言ってると誰もツッキーの心配しなくなるんだからね。ツンケンしてるのがクールでかっこいいんだと思ってるなら大間違いだからね!」
月影くんは無視したままずんずん速足で歩く。まずい、このままでは今すぐ学校を出ることになってしまうどころか校門まで出てしまう。ちらっと見た時計の針が指すのはまだ六時前。夕食にはまだ早い……!
「……ツッキー、一緒に晩ご飯たーべよ」
「断る」
「なんで!」
「彼氏と一緒に食べたらどうだ」
食事はおいしくとりたい派なので、と言いたくなるのをぐっと堪えた。大体、月影くんに断られるのは八割方想定済みだったので一人でも全然構わない。因みに二割は「は?」と言われると思っていた。
「そもそも急に夕食とはなんだ」
「今日要らないって家に言っちゃって」
「君は馬鹿なのか? この時間に誘われれば家にそう伝えていることなど容易に把握できる。一緒に夕食をとる友人もいない君にとってあえて家で夕食をとらないという選択は、何らかの理由で家に帰らないことだけを決めた上での前提行動に過ぎない。その“何らかの理由”の中身を聞いている」
「ツッキーって言わなくてもいい本当のことでグサグサ刺してくるよね」
というか、さっきの月影くんのセリフでそこまで想定して返事しろなんて土台無理な話だ。松隆くん達はそれをやってのけちゃうのかもしれないけど。