「そうですよ。まったく、口から出まかせもいいとこだよね。私としたことが焦っちゃったよ」
ははん、と両手を広げて、演技がかった仕草をとってみせる。あまりにも余裕な私の態度に、鹿島くんはさすがに違和感を抱いたのだろうか、珍しく怪訝な顔をしてみせた。
「随分大きく出たな。そんなに嬉しいことでも言われたか?」
「別に明貴人くんに話すほどのことはないですよーだ。あ、これ美味しい」
「俺のポケットマネーだからな。しっかり感謝しろ」
「明貴人くんと付き合ってる慰謝料だもんね、これは」
「寧ろ俺が慰謝料を貰いたいくらいだけどな。あれだけ選り取り見取りだというのに、なんでよりによって君と付き合って貴重な高校生活を無駄にしないといけないのか」
「とかいう割には、どーでもいいですみたいな顔して蝶乃さんと付き合ってたじゃん。明貴人くん的にはあれなんでしょ、蝶乃さんには貴方のステータスが素敵、って言われたから付き合ってたんでしょ? それこそ時間の無駄だったわけじゃん」
「もちろん、あれも時間の無駄だったよ」
吐き捨てるような言い方ではなく、寧ろ何の感情も感じさせない声音だった。やっぱりよくわからないな、鹿島くん。
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの? 蝶乃さんと付き合ってた理由」
「理由はないよ。付き合ってほしいといわれたときに彼女がいなかっただけだ」
「ふーん? 彼女っていればいいの? 私は好きでもない人と付き合いたくないけど、あ、だから今明貴人くんと付き合ってるの超ストレスだけど、男の子にとってはそうでもないのかな? とりあえず付き合うってよく聞くし」
「くだらない話しかできないならそろそろ黙れ、仕事の邪魔だ」
「あー、さては聞かれたくない話なんだ? 何があったの? ハニートラップでも引っかかっちゃった?」
「そんなものに引っかかるのは桐椰くらいだ」
まさかのカウンターに、ぐっと押し黙ってしまった。違うもん、桐椰くんはハニートラップに引っかかるんじゃなくて、無碍にできないから捕まっちゃうだけだもん……! ……なんで私が言い訳してるんだろう。落ち着け私!
「でもおかしいなー、明貴人くんが私のハニートラップに引っかかる気配がないね。なんでだろうね?」
「鏡を見れば解決するぞ」
「つまり明貴人くんの趣味が悪いと」
ははん、と両手を広げて、演技がかった仕草をとってみせる。あまりにも余裕な私の態度に、鹿島くんはさすがに違和感を抱いたのだろうか、珍しく怪訝な顔をしてみせた。
「随分大きく出たな。そんなに嬉しいことでも言われたか?」
「別に明貴人くんに話すほどのことはないですよーだ。あ、これ美味しい」
「俺のポケットマネーだからな。しっかり感謝しろ」
「明貴人くんと付き合ってる慰謝料だもんね、これは」
「寧ろ俺が慰謝料を貰いたいくらいだけどな。あれだけ選り取り見取りだというのに、なんでよりによって君と付き合って貴重な高校生活を無駄にしないといけないのか」
「とかいう割には、どーでもいいですみたいな顔して蝶乃さんと付き合ってたじゃん。明貴人くん的にはあれなんでしょ、蝶乃さんには貴方のステータスが素敵、って言われたから付き合ってたんでしょ? それこそ時間の無駄だったわけじゃん」
「もちろん、あれも時間の無駄だったよ」
吐き捨てるような言い方ではなく、寧ろ何の感情も感じさせない声音だった。やっぱりよくわからないな、鹿島くん。
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの? 蝶乃さんと付き合ってた理由」
「理由はないよ。付き合ってほしいといわれたときに彼女がいなかっただけだ」
「ふーん? 彼女っていればいいの? 私は好きでもない人と付き合いたくないけど、あ、だから今明貴人くんと付き合ってるの超ストレスだけど、男の子にとってはそうでもないのかな? とりあえず付き合うってよく聞くし」
「くだらない話しかできないならそろそろ黙れ、仕事の邪魔だ」
「あー、さては聞かれたくない話なんだ? 何があったの? ハニートラップでも引っかかっちゃった?」
「そんなものに引っかかるのは桐椰くらいだ」
まさかのカウンターに、ぐっと押し黙ってしまった。違うもん、桐椰くんはハニートラップに引っかかるんじゃなくて、無碍にできないから捕まっちゃうだけだもん……! ……なんで私が言い訳してるんだろう。落ち着け私!
「でもおかしいなー、明貴人くんが私のハニートラップに引っかかる気配がないね。なんでだろうね?」
「鏡を見れば解決するぞ」
「つまり明貴人くんの趣味が悪いと」