でも、雁屋さんの一件が明らかになって以降は (おそらく)以前のように話している。もう嘘を吐く必要がなくなったとはいえ、ただその事実だけで生じた溝が埋まるとは思えない。
「普通に仲直りしただけなんじゃねーの?」
「本気で言ってるとしたら相当鈍いよ、それ。どう見てもあれ、駿哉のこと好きでしょ」
ぐっ、と桐椰くんはばつが悪そうな顔になった。言われてみるとそうだと気付いたんだろう。そういえば、蝶乃さんに本気で好かれてるって気付いてなかったみたいだったし……意外と鈍いな、桐椰くん。
「だったら何かしら和解したんだろうし、暫く距離をとってた理由は雁屋だけじゃないだろうけど……」
そこまで話したところで、月影くんが私達に気付いたので松隆くんは言葉を切った。観念したようにカフェの中へ爪先を向ける。
「……だから、そこの話を二人でしたしたいんじゃないかと思ったんだよね。もうしたのかもしれないけど、どちらにしろ、薄野が二人でいたいところを邪魔するのもどうかと思って」
それが理由でカフェに入るのを躊躇っていたらしい。腹黒王子様感を存分に発揮しているせいで忘れてしまいそうになるけれど、松隆くんはやっぱりそういうところは気が利くんだな。
でも見つかってしまった以上はどうするわけにもいかず、とりあえず各自飲み物だけを買って二人の隣に座った。二人は来て暫く経つのか、ふーちゃんのカップは残り少なかった。
「随分と早くはぐれたな」
「俺達がはぐれたみたいな言い方やめてよ。別行動してただけでしょ」
「つか、最初にいなくなったの駿哉じゃね?」
「カワウソの餌やりにはしゃぐ姿は滑稽だったな」
「見てんじゃねーよ!」
私とふーちゃんそっちのけで三人並んで言葉でじゃれている。ふーちゃんが無言でスマホを取り出して写真を撮ると三人とも黙った。
「……で、これからどうする? 残ってるの、あとクラゲくらいでしょ?」
「そうだな。お土産を見るにしても時間がある。そもそも昼食をどうするかという問題もあるが」
「さっき考えたんだけど、本町まで戻ってから心斎橋筋歩かね? 心斎橋なら適当になんでもあるし、最終日が難波だけで済むから慌ただしくないだろ」
「だったら本町で何か食べちゃだめなの? お腹空かない?」
「何かあるとは思うけど……」
「普通に仲直りしただけなんじゃねーの?」
「本気で言ってるとしたら相当鈍いよ、それ。どう見てもあれ、駿哉のこと好きでしょ」
ぐっ、と桐椰くんはばつが悪そうな顔になった。言われてみるとそうだと気付いたんだろう。そういえば、蝶乃さんに本気で好かれてるって気付いてなかったみたいだったし……意外と鈍いな、桐椰くん。
「だったら何かしら和解したんだろうし、暫く距離をとってた理由は雁屋だけじゃないだろうけど……」
そこまで話したところで、月影くんが私達に気付いたので松隆くんは言葉を切った。観念したようにカフェの中へ爪先を向ける。
「……だから、そこの話を二人でしたしたいんじゃないかと思ったんだよね。もうしたのかもしれないけど、どちらにしろ、薄野が二人でいたいところを邪魔するのもどうかと思って」
それが理由でカフェに入るのを躊躇っていたらしい。腹黒王子様感を存分に発揮しているせいで忘れてしまいそうになるけれど、松隆くんはやっぱりそういうところは気が利くんだな。
でも見つかってしまった以上はどうするわけにもいかず、とりあえず各自飲み物だけを買って二人の隣に座った。二人は来て暫く経つのか、ふーちゃんのカップは残り少なかった。
「随分と早くはぐれたな」
「俺達がはぐれたみたいな言い方やめてよ。別行動してただけでしょ」
「つか、最初にいなくなったの駿哉じゃね?」
「カワウソの餌やりにはしゃぐ姿は滑稽だったな」
「見てんじゃねーよ!」
私とふーちゃんそっちのけで三人並んで言葉でじゃれている。ふーちゃんが無言でスマホを取り出して写真を撮ると三人とも黙った。
「……で、これからどうする? 残ってるの、あとクラゲくらいでしょ?」
「そうだな。お土産を見るにしても時間がある。そもそも昼食をどうするかという問題もあるが」
「さっき考えたんだけど、本町まで戻ってから心斎橋筋歩かね? 心斎橋なら適当になんでもあるし、最終日が難波だけで済むから慌ただしくないだろ」
「だったら本町で何か食べちゃだめなの? お腹空かない?」
「何かあるとは思うけど……」