何か、もっと、鹿島くんと付き合ってることで、鹿島くんにメリットになることが、松隆くんへの嫌がらせ以外にないのだろうか……。
「……明貴人くんと鶴羽樹って、何の知り合いなの?」
「ただの友達だよ」
答えてほしいなら例の質問権を使えと言われるかと思ったけど、鹿島くんはごく自然に答えてくれた。でもその自然な答えが不自然だ。
「……友達?」
「ああ、友達。別に生き別れの弟でも腹違いの弟でもない」
「そういう話してるんじゃないけど……ええ?」
だって、鹿島くんは松隆くんみたいに、財閥のボンボンだ。二人の性格は全く違えど、そのキャラクターに、同じ境遇とは思えないと言うほどの違いはない。そんな鹿島くんが、あのいかにもネジ飛んだ鶴羽樹と友達……?
「一体いつ何で知りあって……」
「情報が欲しいなら対価を差し出せ。この間の権利でも使うか?」
「いーえ、それはまだとっておきます。温めておきます。あ、LIME……」
カバンの中のからスマホを取り出すと「あぁ……バッグを忘れてた……」と絶望した声が聞こえたけど気にしない。表示されているのは「桜坂優実がスタンプを送信しました」。
「妹か?」
「うん」
「仲良いんだな」
「そうだねー、意外と懐いてくれたの。お姉ちゃん欲しかったんだって。あれは──嬉しかったなぁ」
そういう話も、鹿島くん相手なら気兼ねなくできる。桐椰くんはきっと同情してくれるから、話しにくい。
そんなことを思いながらLIMEを開いて、一瞬息が止まる。気付いた鹿島くんは不躾にも私の手元を覗き込み、鼻で笑った。
「兄と折り合いが悪いと、そういうことになってるわけか、君は」
──優実曰く、あの人が急遽来週帰ってくる、らしい。あの人が帰ってくるたびに私が何かと理由をつけて出かけていたので、優実の中ではすっかりそういうことになっている。
「……じゃあ他になんて説明すればいいの? 兄妹になる直前まで付き合ってたから気まずいんだよねーとか言えばいい?」
「ああ、笑えていいんじゃないか」
「笑えませんけどー」
優実からのメッセージは“お兄ちゃんが急に来週帰るらしいんだけど、どーする?”なんてものだ。“どーする”という曖昧な言葉にどうしたものか悩んでいたのが伝わってくる。私もどうしたものか悩んで頬杖をつく。
「……明貴人くんと鶴羽樹って、何の知り合いなの?」
「ただの友達だよ」
答えてほしいなら例の質問権を使えと言われるかと思ったけど、鹿島くんはごく自然に答えてくれた。でもその自然な答えが不自然だ。
「……友達?」
「ああ、友達。別に生き別れの弟でも腹違いの弟でもない」
「そういう話してるんじゃないけど……ええ?」
だって、鹿島くんは松隆くんみたいに、財閥のボンボンだ。二人の性格は全く違えど、そのキャラクターに、同じ境遇とは思えないと言うほどの違いはない。そんな鹿島くんが、あのいかにもネジ飛んだ鶴羽樹と友達……?
「一体いつ何で知りあって……」
「情報が欲しいなら対価を差し出せ。この間の権利でも使うか?」
「いーえ、それはまだとっておきます。温めておきます。あ、LIME……」
カバンの中のからスマホを取り出すと「あぁ……バッグを忘れてた……」と絶望した声が聞こえたけど気にしない。表示されているのは「桜坂優実がスタンプを送信しました」。
「妹か?」
「うん」
「仲良いんだな」
「そうだねー、意外と懐いてくれたの。お姉ちゃん欲しかったんだって。あれは──嬉しかったなぁ」
そういう話も、鹿島くん相手なら気兼ねなくできる。桐椰くんはきっと同情してくれるから、話しにくい。
そんなことを思いながらLIMEを開いて、一瞬息が止まる。気付いた鹿島くんは不躾にも私の手元を覗き込み、鼻で笑った。
「兄と折り合いが悪いと、そういうことになってるわけか、君は」
──優実曰く、あの人が急遽来週帰ってくる、らしい。あの人が帰ってくるたびに私が何かと理由をつけて出かけていたので、優実の中ではすっかりそういうことになっている。
「……じゃあ他になんて説明すればいいの? 兄妹になる直前まで付き合ってたから気まずいんだよねーとか言えばいい?」
「ああ、笑えていいんじゃないか」
「笑えませんけどー」
優実からのメッセージは“お兄ちゃんが急に来週帰るらしいんだけど、どーする?”なんてものだ。“どーする”という曖昧な言葉にどうしたものか悩んでいたのが伝わってくる。私もどうしたものか悩んで頬杖をつく。