「本当に制服か……」
最早嘲る価値すらなし、溜息交じりの呆れた声に、胃の痛みが一転して苛立ちになった。
「すいませんね、庶民はデート服を持ってないんです」
「君の家庭レベルでそれは単純に君の美意識の欠如だろ。まずは服を選ぶための服を買いに行く、決定だ」
舌打ち交じりの鹿島くんはとっとと行くぞと言わんばかりに歩き出した。隣を歩いてても、鹿島くんが御三家レベルで人目を集めるなんてことはなく、ただちょっと擦れ違ったときに「さっきのカップル、彼氏かっこよかったねー」「まあ、そうかなー」「見てなかったー」なんて聞こえる程度だ。でもそうか、鹿島くんはそれなりに格好いい部類なんだな。横から見て暫く、「そういえば眼鏡をかけてない!」と気づくレベルに鹿島くんの顔に興味が湧かない。
「好きなブランドは?」
「えー、特にない」
「今日は君に何の決定権もないからな」
「はぁ、本当に鹿島くんとのデートって憂鬱……」
「コンタクトをしてきた点は褒めよう。うっかり学校でコンタクトをしろとしか言っていなかったから心配していたんだ」
「別に一休さんみたいな頓智言い始めないですよ。あと褒めてもらっても憂鬱さは欠片も変わんないですよ」
「彼女がダサくて憂鬱な気分になる俺の身にもなれ」
「そうだよねー、蝶乃さんはきっとオシャレだもんね」
「歌鈴は母親の職業があるからな、本人も気を遣っていた。それに比べて君はなんだ」
「元カノと比べるなんてデリカシーなさすぎじゃないですか?」
「流れとはいえ、桐椰を松隆と比べた君も相当だったけどな」
ぐ、と言葉に詰まった。確かに、松隆くんの顔面と桐椰くんの顔面を比較したのは本当に悪かったと思ってる。松隆くんの顔面のレベルは圧倒的でただの凶器なんだし、桐椰くんの顔と比べるのはお門違いというか、見当違いというか……。いや、なんというか、単純に桐椰くんと松隆くんって顔のタイプ違うし、というかそもそも二人は顔で比較できるものじゃないからなぁ……。
「でもさぁ、桐椰くんだってふーちゃんと比べるんだもん。ふーちゃんが美人なのは知ってるけどさぁ、私が平凡でどっちかいうとブスって言われても仕方ないのも知ってるけどさ。ふーちゃんに似合う服が私に似合うはずないのも分かってるけどさー!」
「全て事実だろ」
最早嘲る価値すらなし、溜息交じりの呆れた声に、胃の痛みが一転して苛立ちになった。
「すいませんね、庶民はデート服を持ってないんです」
「君の家庭レベルでそれは単純に君の美意識の欠如だろ。まずは服を選ぶための服を買いに行く、決定だ」
舌打ち交じりの鹿島くんはとっとと行くぞと言わんばかりに歩き出した。隣を歩いてても、鹿島くんが御三家レベルで人目を集めるなんてことはなく、ただちょっと擦れ違ったときに「さっきのカップル、彼氏かっこよかったねー」「まあ、そうかなー」「見てなかったー」なんて聞こえる程度だ。でもそうか、鹿島くんはそれなりに格好いい部類なんだな。横から見て暫く、「そういえば眼鏡をかけてない!」と気づくレベルに鹿島くんの顔に興味が湧かない。
「好きなブランドは?」
「えー、特にない」
「今日は君に何の決定権もないからな」
「はぁ、本当に鹿島くんとのデートって憂鬱……」
「コンタクトをしてきた点は褒めよう。うっかり学校でコンタクトをしろとしか言っていなかったから心配していたんだ」
「別に一休さんみたいな頓智言い始めないですよ。あと褒めてもらっても憂鬱さは欠片も変わんないですよ」
「彼女がダサくて憂鬱な気分になる俺の身にもなれ」
「そうだよねー、蝶乃さんはきっとオシャレだもんね」
「歌鈴は母親の職業があるからな、本人も気を遣っていた。それに比べて君はなんだ」
「元カノと比べるなんてデリカシーなさすぎじゃないですか?」
「流れとはいえ、桐椰を松隆と比べた君も相当だったけどな」
ぐ、と言葉に詰まった。確かに、松隆くんの顔面と桐椰くんの顔面を比較したのは本当に悪かったと思ってる。松隆くんの顔面のレベルは圧倒的でただの凶器なんだし、桐椰くんの顔と比べるのはお門違いというか、見当違いというか……。いや、なんというか、単純に桐椰くんと松隆くんって顔のタイプ違うし、というかそもそも二人は顔で比較できるものじゃないからなぁ……。
「でもさぁ、桐椰くんだってふーちゃんと比べるんだもん。ふーちゃんが美人なのは知ってるけどさぁ、私が平凡でどっちかいうとブスって言われても仕方ないのも知ってるけどさ。ふーちゃんに似合う服が私に似合うはずないのも分かってるけどさー!」
「全て事実だろ」