「昼休みに行ってみる」

「おう」

「ていうか、桐椰くんって副会長になってからふーちゃんと関わりあるの? 図書役員と一緒にお仕事ってする?」

「たまにはするぞ。図書役員の仕事ってさ、図書室内の本の管理がメインなわけじゃん。金絡むことだから結局俺達も見るし。んなこと言ったらどの役員とも関わりないはずないんだけどさ、薄野は蔵書増やしたがるから余計にな……」


 そっか、そうだね、雑誌と新書と小説に留まらずラノベと漫画の新刊まで追いかけてたらとても予算も場所も追いつかないよね……。ふーちゃんがいなくなったらあの図書室はどうなるんだろう。ラノベと漫画好きはどの学年にもいるし、その子が引き継いでくれるのかな。


「つか、薄野は別にいつも通りだったけどな。マジで総と何かあるならさすがに顔に出るんじゃねーの」

「そーだよねぇ……でもさぁ、松隆くんって外面王子だけど――私が最初下僕だったから分かっただけなのかな、何があっても笑顔張り付けがちじゃん。でも松隆くんと違って、ふーちゃんってにこにこしてるのが作ってるっぽく見えないんだよね。だから下手したら松隆くんより作るの上手い可能性あるんじゃないかなって」

(アイツ)より上手いって最早それロボットだぞ。こえぇよ。あ、でもずっと一緒だから分かるだけかなぁ……」

「それもあるだろうけど……」


 桐椰くんと月影くんの前では油断してる部分もあると思う。特に桐椰くんの前では。第六西にいた頃を想い出すと、松隆くんは桐椰くんには基本甘えん坊だ。やれコーヒーだの暇だのべたべたしたがる。本人に面と向かって指摘したら絶対にイヤーな顔で否定されるだろうけど。

 それはさておき、そんな桐椰くんの指摘もあって、昼休みにひょっこりと隣のクラスに顔を出した。七組と違って人だかりはない。それどころかふーちゃん自身も見当たらない。

 もしかしてふーちゃんって昼休みは図書室にいるのかな? 図書役員の仕事はよく分かってないけど……。適当に捕まえた三組の人にもふーちゃんの居場所は知らないと言われたし「どうせあの噂なんでしょ? ふーちゃんは違うって言ってたけど、どうなんだろうねー」と先に言われた。やっぱりふーちゃんのところにも人が押しかけてたんだろうな……。