放課後、珍しくアジトのソファは満席になった。なんなら白銀は座るところがなくなって、備品よろしく教室の隅に転がっていた椅子を引っ張ってきてお誕生日席に着いている。
理由は幹部会議。テーブルの上にはこれまた珍しく七人分のカップが並んでいる。ただし「別に紅茶が好きなわけじゃない」という理由のもと何人かはカップに手を付ける気配がない。
「さて、俺が百一代目の間はこの六人に幹部を頼みたい」
白銀から見て左にナンバー2、4、6が、右にナンバー3、5、7が座る。雪の向かい側に座るのは唯一の先輩で、白銀は真っ先に視線を向けた。
「よろしくお願いしますね、先輩」
「幹部ねー。彼方はなくしちゃったのに、なんでまた?」
鵜飼先輩の返事はあまり興味がなさそうで、是とも非とも言わなかった。ただこれは別に含みのある言い方ではなく、本当にあまり何も考えていないだけだ。
鵜飼先輩は“オレンジ色が好きだから”なんて理由だけで躊躇なく髪をオレンジ色に染めている。ついでに髪への拘りが強いのか、その頭はいつでもワックスでバチッと決めてある。アンチトラガスにはこれまたオレンジ色に光るハート型のピアスが空いていて、初めて会ったときの会話は「そこってお風呂はいるとき外すんですか?」だった。因みに時々外すそうだ。そして彼方先輩が鵜飼先輩につけた史上最ダサのニックネームは“うーちゃん”なので、後輩の大半は彼方先輩に倣って“うーちゃん先輩”と呼んでいる。
そんな鵜飼先輩は、いかにもヤンキーでいかつい見た目とは裏腹に大らかで穏やかな人だ。桐椰先輩と違って現在の彼女は先日付き合って二年目の記念日を迎えたらしい。
「この間話した通りですよ。青龍も人数いるし、ただでさえ二年の俺がトップやってるわけだし。分かりやすい幹部がいたほうがやりやすい」
「莉乃ちゃんみたいな子もいますしねー」
「あぁ、TKT48にいそうな可愛い子な!」
「そうそれっす!」
羽村が口を挟めば、鵜飼先輩は即座に食いついた。先日アジトに侵入してきたあの子は可愛いことで有名なんだろう。まだ四月の終わりだというのにもう名前を覚えているなんて、分かりやすい人達だ。彼らに白い目を向けてから、そのまま花岡くんを見る。
理由は幹部会議。テーブルの上にはこれまた珍しく七人分のカップが並んでいる。ただし「別に紅茶が好きなわけじゃない」という理由のもと何人かはカップに手を付ける気配がない。
「さて、俺が百一代目の間はこの六人に幹部を頼みたい」
白銀から見て左にナンバー2、4、6が、右にナンバー3、5、7が座る。雪の向かい側に座るのは唯一の先輩で、白銀は真っ先に視線を向けた。
「よろしくお願いしますね、先輩」
「幹部ねー。彼方はなくしちゃったのに、なんでまた?」
鵜飼先輩の返事はあまり興味がなさそうで、是とも非とも言わなかった。ただこれは別に含みのある言い方ではなく、本当にあまり何も考えていないだけだ。
鵜飼先輩は“オレンジ色が好きだから”なんて理由だけで躊躇なく髪をオレンジ色に染めている。ついでに髪への拘りが強いのか、その頭はいつでもワックスでバチッと決めてある。アンチトラガスにはこれまたオレンジ色に光るハート型のピアスが空いていて、初めて会ったときの会話は「そこってお風呂はいるとき外すんですか?」だった。因みに時々外すそうだ。そして彼方先輩が鵜飼先輩につけた史上最ダサのニックネームは“うーちゃん”なので、後輩の大半は彼方先輩に倣って“うーちゃん先輩”と呼んでいる。
そんな鵜飼先輩は、いかにもヤンキーでいかつい見た目とは裏腹に大らかで穏やかな人だ。桐椰先輩と違って現在の彼女は先日付き合って二年目の記念日を迎えたらしい。
「この間話した通りですよ。青龍も人数いるし、ただでさえ二年の俺がトップやってるわけだし。分かりやすい幹部がいたほうがやりやすい」
「莉乃ちゃんみたいな子もいますしねー」
「あぁ、TKT48にいそうな可愛い子な!」
「そうそれっす!」
羽村が口を挟めば、鵜飼先輩は即座に食いついた。先日アジトに侵入してきたあの子は可愛いことで有名なんだろう。まだ四月の終わりだというのにもう名前を覚えているなんて、分かりやすい人達だ。彼らに白い目を向けてから、そのまま花岡くんを見る。