「幹部ねぇ。幹部制があるのは賛成だけど、問題は決め方だよな」


 理由を聞いた雪は、案を詰めるべく腕を組む。


「決め方、問題あるか? 例えば雪斗、お前の実力なんて自他ともに認めてるからナンバー2で問題ないし」

「俺は白鴉って呼ばれてたし、まぁ今でも呼ばれてるからな。自他ともに認めてるけど、俺の実力が折り紙付きなのはれっきとした経緯があるわけよ」


 手前(てまえ)味噌(みそ)みたいで悪いけど取り敢えずここは勘弁な、と雪は挟んだ。因みに白銀がその慣用句の意味を理解した様子はなかった。


「でも俺以外──つか、大抵のヤツはそうじゃない。一騎打ち総当たり戦やってるわけでもねーし、なんとなくでしか実力分からねーじゃん?」

「じゃあ実力以外で決めたらいいんじゃないか?」

「実力主義の青龍で?」

「まぁそういわれると……」


 私の指摘に、白銀はちょっとだけ困った表情になる。実際、雪がナンバー2と言われている理由の半分以上は実力だろう。


「因みに彼方先輩のときは? 幹部ってどうやって決めてたんだよ」

「ナンパ成功順」

「……もう本当あの人だめだな」


 羽村の情報でガックリと白銀は肩を落とす。私だって同じ気持ちだ。仮にも代々実力主義を名乗る青龍で、幹部をナンパ順 に決めるとは。


「……まぁほら、この間も言ったけど、白銀の代なんだから、白銀が好きに決めたら」

「当たり前だろ! ナンパ成功順に決めやしねーよ!」

「ま、さも大事な問題みたいにいっちゃったけど、俺は哲久の仲が良いヤツを選ぶのでいいと思うよ」

「そんな馴れ合い的なのでいいのか?」

「悪く言えば馴れ合いだけど」


 もっと別の側面から考えろよ、と雪は提案するような手ぶりをつける。