「な、絶対ひっでぇフラれ方するって思わなかったのかな」

「いやそれもあるけど、そもそも一目惚れするにしたって、どうせ傍に白鴉いただろ?」

「あぁ、雪斗か」

「あの二人できてんだろ?」


 ぶっ、とコーラを吹き出した。 シャツで口元を拭こうとすると「きったねぇなハンカチくらい持ってねぇのか! お前モテねぇだろ!」と怒られたので慌ててカバンからハンカチを引っ張り出した。


「いや……できてねぇよあの二人……」

「あぁ、青龍ってメンバー内で恋愛禁止だっけ? ま、そのほうがいいぜ、女のせいでチーム内がモメるってよくあるらしいし」

「そうそう」

「だから表向きは隠してるってわけか」

「いや表向きとかじゃなくて付き合ってないらしいんだけど……」

「あぁ? それ多分ナンバー2が規則破ってんじゃメンツが立たねぇって白鴉が思って黙ってんだろ」


 青龍の俺が否定しているというのに、朱雀の美岳がなぜそこまで……!

「いや……だからあの二人は……」

「俺この間見たぜ、あの二人が制服デートしてんの」

「……いや普通に帰り道一緒に歩いてたとか……」

「店入って仲良くお茶してた」

「アイツらッ……!」


 まただ。また仲間外れだ! なんなんだよアイツら! いくら幼馴染で仲が良いっていっても俺だって雪斗と仲良しだからな! あの氷洞ともちょっとは仲良くなったんだからな!

「つか雰囲気がどう見てもできてんじゃん?」

「……確かに弁当届けたりとかしてたけど」

「正妻じゃねーか」

「……でも今日の雪斗、女子から手作りクッキー貰ってたぜ?」

「お前女分かってねーなぁ! 彼女いても隙あらば寝取ろうとするのが女だぜ?」

「マジかよこわっ」

「男が思ってるより女はしたたかだぞ。ま、可愛けりゃ騙されてるだけで幸せだしいいけど」


 そうか? 可愛けりゃ騙されててもいいか? 俺嫌だぞ、やっぱ騙されたくはないぞ。


「ま、だから白鴉は女からプレゼント受け取ってるかもしれないけど、十中八九氷の女王とできてるぜっていうな!」

「だから何回も言うなよ傷つくから!」

「傷つく?」


 朱雀にオウム返しされて、しまった、と口をつぐむ。何も変なことなんてないかのようにコーラを飲んで誤魔化すけれど朱雀の探るような目が誤魔化される気配はない。