私は、銀狼の右腕として白銀の傍にいる。与えられた役割は参謀で、白銀が私にだけは敵わないと公言しているからみんなに一目おかれている。そうでなきゃ、ただの女の子な私がここにいることが許されるはずがない。

 ただの、女の子だ。私は、ただの女の子。窓辺に寄って、三階の高さから見下ろした校門の前では白銀とその仲間が乱闘騒ぎを繰り広げている。一生懸命見る先にいる白銀の横顔に表情はなく、本当に外面だけはクールなんだから、と笑ってしまう。倒れた後輩の腕を掴んで軽々と引っ張り助け起こし、背中に庇って敵をなぎ倒してやる。リーダー自らの前線に出て背中に庇ってくれるその姿に惚れない後輩はいない。そんな姿は、私が見ている白銀とはかけ離れている。


「……ヘタレのくせに」


 ふ、と鼻で笑ってやる。

 これは、狼の皮を被った犬系リーダーと過ごした三年間のお話である。