「その節はどうも。挨拶に来てやった、五十七代目玄武、冬樹航沃だ」

「百一代目青龍、白銀哲生。二年だ」

「……そこの眼鏡、まさか白鴉(しろがらす)か?」


 ──白鴉。白銀が銀狼と呼ばれていたように、雪個人の呼称。由来はその氏名にあるのだけれど、その狡猾(こうかつ)さも含意している。青龍に入ってからは雪をそう呼ぶ人は少ないけれど、周知の事実ではあるし、雪は「眼鏡とは随分な言い方だな」と暗に肯定した。玄武は難しそうに眉間に皺を寄せる。


「銀狼と白鴉か……今年の青龍は強そうだな」

「お褒めに預かり光栄だな。で、コイツが──」

「青龍が一目置く紅一点ってわけだ」


 白銀が私を指さして紹介しようとすると、冬樹が先に答える。白銀が面食らっている間に、冬樹が私を一瞥(いちべつ)する。