「要は京花ちゃんの中で哲久(てつき)は雪斗より下なんだろ?」

「え、それわざわざ口に出して言います? え?」

「まぁ雪斗は京花ちゃんと幼馴染なわけだし、哲久より頭良いし、哲久よりモテるし、仕方ないんじゃね?」

「先輩実は俺のこと嫌いなんですか!?」

「まさかー、可愛い後輩のことは大好きだよー」


 ははは、と軽々しく笑われ、白銀の心は折れた。桐椰先輩が来る前のようにソファの隅で膝を抱える。


「もうやだ……雪斗は俺のLIMEに素っ気ないし、氷洞は毎日辛辣だし、彼方先輩は本当のことなら何言ってもいいと思ってるし」

「本当のことだって自分で言ってるじゃん」

「もうやめろ! 俺のHPはもうゼロだ! これ以上俺を虐めるな!」

「そういえばこの間朱雀が代替わりの挨拶に来たって聞いたんだけど、どうだった? 七十二代目も美人だった?」

「美人でしたよ」

「無視かよ!」


 東高は実力主義なので強いと自負する生徒がトップに勝ちさえすれば代は替わる。一方で南高では美人が正義。女装美人だと自負する生徒がトップに美人投票対決で勝利することで代が替わるので、ちょっと面倒臭いのもあって東高ほど頻繁に代替わりは起こらない。ただ、時々「コイツには(美しさで)勝てない」と感じたトップが譲位することもあるのだとか。もちろん桐椰先輩みたいに受験勉強とか個人的な事情で譲位する人もいる。