そして、写真を撮る瞬間、一歩近寄った私に、一歩退いた。


「……先生、何でダメなんですか」


 新藤先生からスマホを返してもらった後、思わずそう呟いた。生駒先生は何も言わない。


「……私、もう、高校生じゃなくなりました」

「……だからね、この間言った通り」

「私のことが好きじゃないなら、そう言ってくれたほうがいいです」

「そんなことないよ。有島さんのことは生徒として──」

「そういうのじゃないです」


 分かってるくせに。そういう優等生ならぬ優等教師みたいな回答期待してないって、求められてないって、分かってるくせに。


 それなのに、まるで私が我儘を言って駄々をこねてるみたいな顔をする。


「……好きです」

「……そっか、ありがとう」


 先生の答えは、一度目の告白のときと同じだ。ぐっと唇を噛み締めて俯くと、先生が口を開く気配がした。それが一度閉じて、もう一度開く。


「……じゃあ、こうしよう。有島さんが、大学生になって、大学を卒業して、それでも僕よりいい人がいないと思ったら、付き合おう」


 ……大学は、四年間もあるんですよ、先生。