今時漫画のヒロインでも教室を飛び出して逃げ去ることなんてしない。それなのに、そんな恥ずかしい芸当を無我夢中でやってしまったのは、そのくらい感情がパニックだったからだ。なんだか引っ込みがつかなくなったような気がして昇降口まで走って、下駄箱前で立ち尽くした。 もっといいひとがいるとか、関係ないのに。私は、生駒先生が好きだって、言ってるのに。 春、先生がローファーを磨いてくれた場所で、そんなことを思いながら、泣いた。