そんな努力が功を奏したのか、二月末、無事に合格発表が出て、私の受験は終わりを告げた。


 それを報告しに行った日が、二度目の告白の日。担任の先生に報告して、職員室に生駒先生がいなかったから、慌てて生物教室に行った。


「生駒先生」


 鍵がかかっていなかったからきっと中にいる、そう思って飛び込んだ生物教室には、確かに生駒先生がいた。ちょっと驚いた顔をして振り返った生駒先生は、今日は白衣を着ている日だった。


「あれ、有島さん、久しぶり」

「先生、私、大学受かりました」

「あ、そっか、今日合格発表か! おめでとう!」


 はにかんでみせた生駒先生の嬉しそうな顔に、自分の頬が緩むのを感じた。生駒先生は「そっかー、よかったね、第一志望だよね」と言ってくれた。私の第一志望を覚えてくれていたことに一層嬉しくなって心が躍った。


「だから先生」

「ん?」

「好きなので付き合ってください」

「……え?」


 多分、その手に教科書でも持ってたら、取り落としていただろう。生駒先生はそのくらい驚いた顔をしていた。ぽかん、と口を開いて、何を言われたのか分からない、そんな顔をしていた。