そのショックで、暫くはぼーっとしてしまっていた。

 なんであのタイミングで言っちゃったんだろう、とか、スルーされないための言い方ってああいうのとかこういうのとかもっと他にあったんじゃないだろうかとか、せめてバレンタインまでは待つべきだったんじゃないかとか、色々と考え込んでしまって。

 なんなら、スルーされたのが辛すぎて生駒先生の授業に出たくなくなっていた。普段超がつくほど真面目に聞いてたのに、教科書を立てて、生駒先生が目に入らないようにしていた。難癖みたいな理由をつけて先生に質問しに行くのもやめた。


 そんな病み気が過ぎるまで、一カ月くらいはかかった。

 正確には、一カ月経ったくらいには病んでる場合じゃなくなった。十一月に入ってすっかり夏が過ぎ去って木枯らしまで吹く季節になれば、もう周りは受験一色だったから。

 私だって、生駒先生のことは気になっても、志望校の判定が悪すぎて、それどころじゃなくなっていた。仲の良いヒメが圧倒的に成績上位者で、志望校の国立にB判定、それ以外の国立はA判定、なんて叩きだしているのを見て余計に焦ったのかもしれない。私は私文志望だったから、ヒメよりも本命の受験が早くて、焦ってしまったのかもしれない。

 とにかく十一月から二月まで、脇目も振らずに受験勉強に励んで、生駒先生への告白がスルーされたことは、頭を離れなくても、無理矢理振り払うしかなくなっていた。