それに。不覚にも一瞬ときめいてしまった。 いけない。いくら翼でも抵抗しなきゃ。 そう思って手首に力を入れようとすると、 「次はこけんなよ」 パサ。 ようやく離してくれた。 ホッとしているのに、なぜだか手首にまだ残る温もりが少し切なくも感じる。 それでもいつも通りに、 「ほーい」 そう言って翼を見れば、いつもの翼が居た。 なーんだ。やっぱあたしの考えすぎじゃん。 私と翼は幼馴染以上でも以下でもない。