そのまま数分バスで移動し、トリックアート館に到着。その隣にあるカフェで簡単にお昼を食べて(因みにオムライスを頼んだら「パスタとか言えないの?」と食べ物にまでケチをつけられた)、桐椰くんお待ちかねのトリックアート館に入る。もちろんお決まりの絵が床と壁に描かれているわけで、よしりんさんが桐椰くんを促し、桐椰くんはカメレオンの絵の前に立たされる。来たがったくせに仕様を理解してない桐椰くんはきょとんとする。
「……え、これどうすんの」
「何のためにパーカー着てるアンタ選んだと思ってんの? ほらポッケに手突っ込んで、それを引っ張る。……そう。はいそれで止まる!」
保護者のよしりんさんの指示に従って位置につきポーズをとる。よしりんさんがスマホのシャッターを押し、桐椰くんも合せてその写真を覗き込む。するとあら不思議、桐椰くんはパーカーの裾をカメレオンの舌に引っ張られている。被写体だった桐椰くんは勿論目を輝かせた。
「すげぇ! 飛び出てる! え、なにこれスゲェ!」
「いま可愛いと思った人挙手」
「はい」
松隆くんの言葉に合せて四人で手を挙げれば桐椰くんは唇を引き結び顔を真っ赤にして目を逸らした。可愛い。
「はーい、どんどん行くわよー。ほら総ちゃん」
「俺こういうキャラじゃないから」
「何かっこつけてんのよとっとと食われかかってきなさい」
対称的に松隆くんは物凄く嫌そうな顔をする。しかも次の絵が大きく開いたゴリラの口の中で一生懸命手足を踏ん張る構図なので、桐椰くん以上にポーズが求められる。絶対よしりんさんも分かってて敢えて宛がったに違いない。逆らうことは許されないまま渋々その絵の前に座り込んだ松隆くんは「もっと手を伸ばす。やる気あんの? 股を広げる! アンタ王子なのは顔だけにしなさいよ!」とよく分からない罵り方をされていた。写真を見れば、確かにあの松隆くんがゴリラに食べられかけている図は中々にシュールだった。
「……あんま見ないでよ」
「嫌そうな顔してる松隆くん新鮮でいいと思うよ」
「…………」
舌打ちされた。確かに王子様なのは顔だけだ。
「ほら貴女も行くのよ」
「待ってくださいよしりんさん、あれ空気椅子を強いられるしんどいヤツじゃないですか?」
「ほんの十数秒よ」
「……え、これどうすんの」
「何のためにパーカー着てるアンタ選んだと思ってんの? ほらポッケに手突っ込んで、それを引っ張る。……そう。はいそれで止まる!」
保護者のよしりんさんの指示に従って位置につきポーズをとる。よしりんさんがスマホのシャッターを押し、桐椰くんも合せてその写真を覗き込む。するとあら不思議、桐椰くんはパーカーの裾をカメレオンの舌に引っ張られている。被写体だった桐椰くんは勿論目を輝かせた。
「すげぇ! 飛び出てる! え、なにこれスゲェ!」
「いま可愛いと思った人挙手」
「はい」
松隆くんの言葉に合せて四人で手を挙げれば桐椰くんは唇を引き結び顔を真っ赤にして目を逸らした。可愛い。
「はーい、どんどん行くわよー。ほら総ちゃん」
「俺こういうキャラじゃないから」
「何かっこつけてんのよとっとと食われかかってきなさい」
対称的に松隆くんは物凄く嫌そうな顔をする。しかも次の絵が大きく開いたゴリラの口の中で一生懸命手足を踏ん張る構図なので、桐椰くん以上にポーズが求められる。絶対よしりんさんも分かってて敢えて宛がったに違いない。逆らうことは許されないまま渋々その絵の前に座り込んだ松隆くんは「もっと手を伸ばす。やる気あんの? 股を広げる! アンタ王子なのは顔だけにしなさいよ!」とよく分からない罵り方をされていた。写真を見れば、確かにあの松隆くんがゴリラに食べられかけている図は中々にシュールだった。
「……あんま見ないでよ」
「嫌そうな顔してる松隆くん新鮮でいいと思うよ」
「…………」
舌打ちされた。確かに王子様なのは顔だけだ。
「ほら貴女も行くのよ」
「待ってくださいよしりんさん、あれ空気椅子を強いられるしんどいヤツじゃないですか?」
「ほんの十数秒よ」