やばい…ほんとうに吐きそう…
口に手を当て、必死に吐き気を抑える。
ヴァンパイアの威圧なんて、人生でくらうことなんてそこそこないと思うけど…
自分がこんなに影響を受けやすいなんて思わなかった。
なんとかナンパされてた女の子を見上げる。
彼女は苦しそうにはしているけれど、倒れ込むほどではないようで、心配そうにちらちらと見てくれていた。
でも、威圧のせいで動けそうにないらしい。
「わかった。連絡先ぐらいなら交換するから。威圧、やめて。」
その言葉に、男が下品ににやりと笑った。
その口元には牙が生えている。
「最初からそう言えばいーんだよ。」
彼女がスマホを男に手渡した。
そんな…わたしのせいで、あの子が……
私があの時、入らなければ…あの子だけなら耐えられてたから、なんとかなったかもしれないのに…
自分に情けなくて、じわりと涙がでてきた。
何やってるんだろ…私……