「ブスが調子乗んなよ。」
ドガッと何かに撃たれたみたいに動けなくなった。
頭から下に向けて、サーっと温度が下がるのが分かる。
だ、だめだ…
この人、私なんかじゃ、全然収まらない。
…やっぱり出しゃばらなきゃよかった
「連絡先だけでもさ…いいじゃん…ね。」
一瞬、意識が私にそれたせいか冷静になってきた男がついにその子の肩に手をまわした。
しかし、眉をひそめて、いかにも嫌そうな顔をされる。
それがとうとう、限界だったのか、先程とは比べ物にならないほどの形相で睨みつけた。
「う……」
「きゃ……」
頭が痛い…
突然、空気が重くなり、目の前がぐらりとした。
威圧感。重苦しさを感じて、立っているのもやっとだ。
この人、まさかヴァンパイアなの?…
ヴァンパイアは、その人が持つ特徴的な威圧を出すことで、対抗したりその場を制することができる。
この人が出しているものは紛れもなくそのヴァンパイアの威圧感だった。
こんな奴がヴァンパイアだなんて信じたくないけど。
「……ね、メールだけでも…」
気持ち悪い…吐きそう…
座りこむようにしながら、必死に口元を抑える。