この世界には二種類の人がいる。

ヴァンパイアか普通の人間か。

ヴァンパイアは牙を持ち、優れた能力…運動神経や頭脳を持ち合わせている。

度合いは人によって様々だが、基本的には普通の人間より優秀であり、現在は人口の20パーセントほど存在している。

定期的に血を吸わないといけないデメリットがあるが、メリットが大きすぎるため、皆んなヴァンパイアで生まれる望んでいる。


私の家は分家ではあるが、本家は優秀なヴァンパイアを多く輩出している。


私がヴァンパイアで生まれさえすれば、嫁いできて、なぜか忌み嫌われている母の名誉も挽回できた、というのに。


「役立たず、だよな…」


バス停に着いた頃には、ナーバスでは済ませないほどに心は沈んでいた。


さっさとバス来ないかな…


鉛のように沈んだ私の心は、バスに乗ってしまえば、海に揺られるみたいに、少し動いて軽くなってくれるのに。