「うぅ……」
頭痛いし、なんかぼんやりする…
あれ、記憶がない…?
帰ってそのまま寝ちゃったんだっけ?
でもバスに乗った記憶がない…
ああ…ナンパされたところを助けようとして…
綺麗な男の人が最後助けてくれて、そこで記憶が途切れてる。
見渡せば、黒色を基調とした戸棚やソファといった家具が置かれている。
ホテルみたいにきちりとした部屋は自分の住むアパートの一室でないことは明らかだった。
「本当に、どういう状況……?」
頭がぽわんとするせいか不思議と恐怖はなかった。
とりあえず散策しようかな、と考えて起き上がった時、布団の中からがじゃりという音と手に硬い感触があった。
「……鎖?」
手を取り出して見てみれば、手首にそれぞれ黒い鉄の輪っかが嵌められており、そこから鎖が伸びている。
がばりと勢いよく布団をめくって見れば、鎖の先はベッドの支柱に繋がっていた。
「これ…もしかして、かなりやばいかも。」
だんだんと自分の置かれた状況が分かり、恐怖からぼやけた頭も鮮明になってくる。
…まさか誘拐? でもどのタイミングで?
うーん、やっぱり記憶が途切れていて分からない…