「良かったぁ!」
凌さんの言葉に安心したわたしは、「いただきまーす。」と自分のお弁当箱を開け、食べ始めた。
「天音ちゃん、料理上手いね。これなら、ちゃんと嫁に行ける。」
そう言う凌さんに向かって、わたしは「凌さんが嫁にもらってくれます?」と冗談ぽく言った。
凌さんはわたしの言葉を聞き、少し間を開けてから「ちゃんとした良い男見つけて、嫁に行きなさい。」とわたしと目を合わさずに言った。
逸らしたその目は、どこか切なく、寂しそうだった。
そして、世の中はクリスマスの季節。
その辺はカップルだらけで賑わい、その雰囲気を盛り上げるようにフワフワの粉雪がちらついていた。
わたしはというと、ケーキ持参でいつも通り凌さんのお店に居た。
凌さんは「こうゆう日は、彼氏と過ごすもんだよ?」と言ったが、わたしは「彼氏いないんで!」と明るく言ってみせた。
「天音ちゃんなら、すぐに彼氏出来そうだけどなぁ。」
「わたしが好きなのは、凌さんなので、他の人には興味ありません!」
わたしはそう言うと、ショートケーキの上にのるイチゴを一口で食べた。