「え、えっとぉ、、、じゃあ、"愛を込めて花束を"って曲知ってます?」
わたしがそう言うと、凌さんは「えっ。」と溢し、曲のメロディーの一部を弾いて「これ?」と言った。
「そうです、そうです!わたし、その曲好きなんですよね。弾けます?」
わたしの言葉に凌さんは頷くと、前奏を弾き始めた。
そして、わたしは歌う。
「二人で写真を撮ろう 懐かしいこの景色と♪
あの日と同じポーズで おどけて見せてほしい♪」
凌さんの演奏で歌い始めると、元気が出てくる気がした。
そして、明るい曲調を弾く凌さんのギターの音色を初めて聴いた。
いつもは切なそうにギターを弾いている凌さんが、今はどことなく楽しそうに見えた。
そんな凌さんを見て、わたしの歌にも力がこもり、凌さんに向けて愛を込めて歌ったのだった。
歌い終わったときには、気持ちがスッキリしていつもの自分に戻っているのを感じた。
「天音ちゃん、歌上手いね!」
そう言って瀬戸くんが褒めてくれる。
そのあとで凌さんが「上出来だ。」と言ってくれ、わたしは嬉しくなった。
「凌さんに褒めてもらえるなんて嬉しい!」
わたしがそう言うと、瀬戸くんが「え?俺も褒めたよ?」と言い、笑わせてくる。
わたしが笑うと、微かに凌さんも笑ってくれた気がした。
それが何より嬉しかった。