俺はそれから二時間近くかけて、屋根裏を掃除した。

窓がないから、まだ埃っぽさは多少残っているが。

これだけ綺麗にすれば、しばらく間借りするくらいなら困らないだろう。

俺はマットレスや毛布、水、懐中電灯を屋根裏に運び入れ。

屋根裏に上がる板を丁寧に閉じた。

途端に光がなくなり、まだ昼間のはずなのに、真っ暗になってしまった。

屋根裏の床板の隙間から、僅かに下のリビングが見える。

「…結構、天井低いな…」

屋根裏と言っても、ここは本来、人が住む部屋として作られた訳ではない。

成程、この家の家族が、ここを物置としても使わなかったのも頷ける。

天井は低くて、立ち上がるどころか、中腰にもなれない。

動くときは常に匍匐前進。座ることも出来ず、いつも横になっていなければいけない。

それに。

「…ちょっと、みしみし言うな…」

俺が動くと、屋根裏の床がみしみしと軋んでいた。

今は家の中が無人だから、いくら音を立てても構わないけど。

家族が帰ってきて、リビングにいるときは…動けないな。

まさか屋根裏に人間が潜んでいるとは思わないだろうし…。

俺は懐中電灯をつけて、狭いスペースの中でマットレスを敷き、その上に身を横たえた。

天井が低いので、これだけでも一苦労である。

「はぁ…」

そういえば…こうしてゆっくりと横になるのは、二日ぶりだな。

いきなり時空を移動して、「食事」をして、死体を隠蔽して…と、立て続けに動きっぱなしだったからな。

ある程度は、魔力を身体に巡らせて気張ってるから、耐えられるけど…。

こうして緊張の糸が切れると、いきなりどっと疲れが襲ってくる。

こんなに狭くて、埃っぽくて薄暗い空間なのに。

横になると眠気が襲ってきて、俺はゆっくりと目を閉じた。