二人目のターゲットを見つけたときには、既に辺りは暗くなっていた。

実におあつらえ向きだ。

さて、先程のように都合良く歩いていないものか、と辺りを見渡すが。

なかなか、一人で歩いている女の子は見つからない。

学校帰りらしい女子高生や、コーヒーショップのカップを持って歩く女子大生ばかりが目立つ。

でも、あれじゃ駄目なのだ。

あれほど大きくなっていると、駄目。

最低でも小学生…それも、低学年でなくては。

さっきみたいな、幼稚園くらいの女の子が良い。

でもそういう年頃の子は、なかなか一人で歩いていることがない。

だから、探すのが大変だ。

それでも今までの世界だと、ちらほら一人で歩いている子を見かけたのだけど…。

この新しい世界は、余程治安が良いらしいな。

なかなか一人で歩いている子を見ない。

先程見つけた子は、本当にレアな存在だったんだろう。

とはいえ…一人で歩いていなければ、ターゲットになり得ない訳じゃない。

ようは誰にも見られず、こっそり路地裏に連れ込めれば、こちらのものなのだ。

周囲を注意深く見渡すと。

「…あ」

…丁度良さそうなターゲットを見つけた。

郵便局の横に車を停め、助手席のチャイルドシートに、一人で座って手遊びをしている女の子。

母親は、女の子を車に残して郵便局で用事を済ませているのだろう。

…これは、チャンスだ。

俺は再度周囲をよく見渡して、人の目や監視カメラがないかチェックした。

…大丈夫。この位置なら。

さりげなく車に近づき、チャイルドシートでつまらなさそうに母親を待っている女の子を、間近に見た。

…うん。丁度…食べ頃じゃないか。

俺は助手席の窓を、こんこん、とノックした。

すると女の子が、俺に気づいてこちらを見た。

窓を開けて、と笑顔でジェスチャーすると、何も知らない愚かな少女は、無防備に窓を下ろした。

「なぁに?」

俺は無言で笑顔を続けたまま、少女の襟首をがっちりと掴んだ。