これで何度目なのかは、もう分からない。

次で何人目なのかも、もう分からない。

分からないが、いつもと同じく。

「はぁ…はぁ…」

時空移動で魔力をかなり消費してしまったせいで、酷く苦しかった。

そして、渇いていた。

「待って…もう少し…」

まだ日が昇っている。外が明るい。

こんなときに、やることは出来ない。

まだ、もう少し…暗くなるのを、待たなくては。

「はぁ…うぅ…」

俺は暴れ出しそうになる胸を掴み、必死に衝動を堪えた。

しかし、長く持たないのは分かっていた。

今夜、すぐにやらなくては。

でないと…大変なことになってしまう。

新しい世界に来たのだから、ここで人間に紛れ込んで暮らす為に、色々と準備をしなくてはならない。

だが…今はそれどころではない。

まずは、今夜を迎えなくては。