「…ねぇ羽久。今回の事件の犯人ってさ」

「あん?」

「一体、どんな人なんだろうね?」

「…」

どうしても、それが気になる。

複数の時空を自由に行き来するほどの実力を持つ魔導師が。

小さな女の子ばかりを狙い、猟奇的な殺人を繰り返す。

一体、どんな人なんだろう。何で、そんなことをするのだろう。

「それは…あれだろ?シルナと同じロリコンで…」

「あーはいはい、そういうのは良いから」

私はロリコンじゃないから。何度も言ってるけど。

まぁ、小さな女の子ばかりを狙っているっていうことは?

もしかしたら、そっち系の趣味をお持ちなのかもしれないけど?

それは人の趣味嗜好、性癖というものであって…。私に口を出す権利はない。

幼女好きなのは人の自由だけど、でもだからって殺しちゃいけないよなぁ?

「しかも、心臓抉り出すくらいなんだから…。とんでもないサイコパス野郎なんだろうよ」

「野郎って…。女の子かもしれないじゃん」

「知らないよ。とにかくサイコパスには変わりない」

…そうかもね。

ただ殺しているだけじゃないのだ。

まずは喉を一突きして息の根を止め、その後死体の胸を切り裂いて、心臓だけを取り出す。

これほど猟奇的な殺害方法を、何度も繰り返すとは。

正気の沙汰とは思えない。

まぁ、普通の神経してたら、出来ないよね。

そんな方法で人を殺そうなんて、思い付きもしないだろう。

それを思い付き、実行に移しているのだから…。

羽久の言う通り、サイコパスと言えるのかもしれない。

「サイコパスかー。うーん…」

「何?」

「いや…」

本当にサイコパスなのかなぁ…。

もしかして、何か事情があって…なんて可能性は。

って言うと、羽久は「甘い」って言うんだろうなぁ。

確かに甘いかもしれないけど…。

「…それより…この犯人、心臓抉り出して…何処に持っていったんだろう?」

「さぁ…。捨てたのか…。コレクションして楽しんでるんじゃないの?どっちにしても胸糞悪いけど」

…捨てたんだとしたら、何処かで見つかってるはずだから…。本人が持ってるのか。

羽久の言う通り、どちらにしても胸糞悪いのは変わりない。

「とにかく、さっさと見つけて…さっさと捕まえて、罪を償わせるぞ」

「…そうだね」

それが、償うべき罪だったら…ね。