…で、その翌日。

俺達は、揃って王立魔導病院に入院する羽目になった。

言わずもがな、全員魔力の大量消費による憔悴が原因である。

俺はあのとき二十音に入れ替わっていて、間接的に魔力を奪われただけだから、それほどの重症でもなかったのだが。

致命的なまでに魔力を消費してしまったシルナは、一番の重症患者だった。

別に大怪我をした訳でも、大病を患った訳でもなく、ただ魔力を大量消費してしまっただけなので、休んでいればおのずと魔力は回復する。

が、シルナほどの化け物じみた魔力の持ち主は、消費魔力もまた大きい為、回復するのに時間がかかる。

同様に、俺達魔導師もまた、しばらく入院しなければならなくなった。

大人しくしていれば、一週間ほどで普通の生活に戻れるだろうとのこと。

魔力の回復には、じっとして休んでいるのが一番。

しかし、別に何処か痛い訳でもない、ただベッドにボケーっと寝ていなければならない状況というのは、大変キツいものがあった。

「…暇だな…」

「うん、暇だ…」

普段は多忙なはずの俺達聖魔騎士団魔導部隊の大隊長は、暇をもて余していた。

マジもう本当暇。

何もやることがない。

でも大人しくしていれば、魔力が回復しない。

何このジレンマ。

そんな中、誰かがお見舞いに来てくれると、大変新鮮だった。

その日、最初に見舞いに来てくれたのは。

「おとうしゃま~」

「はっ!アイナ!」

ルシェリート夫妻の愛娘、アイナちゃんであった。