…死んでも良い、つもりだった。

いや、死ぬつもりだった。

私は、神殺しの魔法を使った。

ここにいる全ての魔導師…私の教え子達…から、魔力を吸い取った。

でも、昔のときとは違う。

里の一族の魔力を全て吸い取って、命を奪って邪神を封じた、あのときとは違う。

私は教え子達から、限界まで魔力を吸い取った。

でも、それだけでは聖なる神を封じるには足りない。

だから、私は自分の魔力を全て使って、私の命の全てを使って、ベリクリーデちゃんの中の神を封じるつもりだった。

更に、二十音の中にいる邪神を封じるのに使った、闇の『聖宝具』と対を為す光の『聖宝具』を、ベリクリーデちゃんの中にも埋め込んだ。

ここまでしてようやく、聖なる神を封じ込めることに成功する。

私は、その為に命を落としても構わないつもりだった。

私の命の全てを使って、ようやく果たされる魔法のはずだった。

…それなのに。

「…しーちゃん」

「…二十音…」

左目から黒い涙を流した二十音が、私の手を握り、大量の魔力を注ぎ込んだ。

私が死なずに済んだのは、そのお陰だった。