──────…学院長が、何かを隠していることは知っていた。

イーニシュフェルト学院から、邪悪な魔力を感じていた。

あれは、二十音さんの中にいる禍なる神のものだったのだ。

ようやく、謎が解けた。

僕は最初から、別に彼が何を隠しているのだとしても、それを咎めるつもりはなかった。

彼が僕達を利用するつもりだったのだとしても。

学院長が、僕を地獄から救ってくれたことに変わりはない。

僕に、居場所を与えてくれたことに変わりはない。

ここにいる皆が、同じように思っているはずだ。

裏切られたなんて思わない。

騙されていたなんて思わない。

それが、シルナ・エインリーという偉大な魔導師の選択なら。

「ずっと探し求めていた僕の居場所を、与えてくれたのはあなたです。だから、あなたになら…命を奪われても、憎んだりはしませんよ」

恩人の為に命を使えるのなら、それは本望というものだ。