──────…神を殺す魔法…か。

なぁ、どう思う月読。

本当の神殺しの魔法は、この人のものだったんだ。

騙されていたとか、裏切られていたとか、利用されていたとか。

そんなことは、別にどうでも良かった。

俺だって、アシバ探偵事務所の彼らを騙していたのだから。

俺に、他人を責める資格なんてない。

この人にはこの人なりに、そうしなければならない理由があったのだ。

俺だって一人で、『死火』を守り続けてきた。

この人もまた、気が狂いそうになるほど長い時間、一人で秘密を抱え込んできたのだ。

その孤独が、苦労が、分からない訳ではない。

俺も、同じものを抱えて生きてきたから。

だから、俺はシルナ・エインリーを恨もうとは思わない。

「…そこまでの覚悟があるのなら、俺にあなたを止める権利はない。俺はあなたを信じると決めた。だから、最後までそれを貫かせてくれ」

また裏切られた、なんて思わない。

「…うん。君はそれで良いと思うよ」

月読が、俺の耳元でそっと囁いた。