──────…まぁ、何かを隠しているんだろうなとは思っていた。

あれだけ長く生きてりゃ、そういうこともあるだろう。

俺だって、地下組織に長いこと潜ってきたんだ。

裏切ったの裏切られたの、騙したの騙されたのは、日常茶飯事。

この学院長、シルナ・エインリーに関しては信頼していたが…。

俺の目が甘かったってことなんだろうな。

それでも、俺はこの人を恨む気にはなれなかった。

この人なりに、考えて考え抜いて、そしてようやく出した結論なんだから。

それに。

「あんたはかつて、邪神を封じて世界を守った。あんたがいなけりゃ、今の世界はなかったんだ。なら…生かすも殺すも、あんたの好きにすれば良いさ」

誰も、あんたを責める資格なんてない。

あんたがかつて世界を救わなきゃ、俺達は今ここで、生きて喋ってることも出来なかったんだからな。