──────…俺に至っては、最早考えるまでもない。

学院長が何を考え、どういうつもりで俺を助けたのだとしても。

そんなことは関係ない。

長きに渡る雪刃の呪縛から解き放ち、俺を助けてくれたのは誰か。

誰一人自分を助けられる者はいないと絶望していた俺を、地獄から救いあげてくれたのは誰か。

忘れた訳ではない。

例えそれが、俺を利用する為なのだとしても。

「…俺を雪刃から助けてくれたことに変わりはない。俺が今ここにいられるのは、あなたのお陰です」

学院長が俺を利用すると言うのなら、利用してくれて構わない。

この命は、彼に助けられた命なのだから。