──────…そして、その日から数年がたち。

私はアトラスさんと結ばれ、それぞれ聖魔騎士団の団長と副団長になった。

ほどなく子供を…アイナを授かった。

最初の頃は、少し不安だった。

アルデン人の女を妻になんかして、もしかしたらアトラスさんは、いつか私のことを嫌いになるかもしれない。

やっぱりアルデン人の女は嫌だって言うかもしれない。

ルーデュニア人の、別の女の人のところに行ってしまうかもしれない。

アイナのことだって。アルデン人の血を引いた子供なんかより、純血のルーデュニア人の子が欲しくなるかもしれない。

それが不安だった。

しかし、何年たっても、アトラスさんは私のことを愛してくれていた。

私のことも、アイナのことも。

アイナに対しては、聖魔騎士団の同僚達にも呆れられるほどの子煩悩ぶり。

お酒の席になるといつも、いかに娘が可愛いか、いかに娘が自分そっくりかを、延々と同僚達に話して聞かせるらしく。

いい加減何とかしてくれと、同僚達数名が私のところに苦情を入れに来たことまである。

恥ずかしいから娘自慢はやめなさいと言ったのだが、アトラスさんはいまいち何が悪いのか分からなかったご様子。

言っても聞かないので、もう諦めた。

…しかし。