一人にしないで、じゃない。

一人にしないよ、とこの子は言った。

私が一人で、ずっと孤独を感じていたことを、この子は知っているのだ。

この子自身が、座敷牢でずっと孤独に生きていたように。

私達は同じだ。

同じように鎖にがんじがらめにされて、一人ぼっちで。

ずっと誰かの救いを求めていた。

それが私であり、二十音だった。

さぁ、殺せシルナ・エインリー。

二十音が邪神を飼い慣らそうと、二十音の中に私達一族の宿敵が宿っていることに変わりはない。

今すぐこの子を殺すんだ。

そうすれば、私の一族の無念は晴れる。

私の使命が果たされる。

それが、私に託された生きる意味。

二十音は抵抗しない。私を信じきっているのだから。

今すぐこの子を殺して、死者の亡霊から解放されるのだ。

簡単なことではないか。

私は二十音に、杖を…神を殺す光の『聖宝具』を向けた。

さぁ、これで終わらせよう。

二十音ごと、邪神を殺すのだ。



























「…出来ない」

私の瞳から、一筋の涙が溢れ落ちた。