私の里の一族は、私に全ての期待を託して、無念のままに散った。

私一人だけを生かす糧となり、世界を救ったのだ。

私は、ただ一人選ばれたイーニシュフェルトの里の生き残りとして、やらなければならないことがある。

託された使命の重さは、一族の無念は、私の命よりずっと重い。

私の勝手な…愛なんかより…ずっと重いはずなんだ。

毎晩のように、枕元で一族の亡霊達が、私の耳元に囁くのだ。

使命を果たせ、己の役目を忘れるな、と。

そう、私は自分の使命を忘れない。

私の愛なんかより、世界を救うことの方が、ずっと大事なのだ。

何度も何度も、私は自分にそう言い聞かせた。

だから、私は二十音に邪神を降ろし、二十音を殺すことに決めた。