──────…裏切り者。

そう言われても、私には言い返す言葉がなかった。

私が裏切り者である事実は変わらない。

「手駒を懐柔して、自分に従わせ、いざというとき彼らの命を奪って、かつてお前達が邪神を封じる為に行った禁忌の魔法…。神殺しの魔法を使うつもりなんだろう」

「…」

「邪神に寝返った、堕ちた聖賢者…。その魔法を、邪神に使うならば良い。だが、邪神の代わりに、この私にその魔法を使おうとは…。人類に対する裏切りに等しい」

…全く以て、その通り。

何も言い返すことは出来ない。

「が、学院長…?裏切りって…」

シュニィちゃんが、戸惑った顔でこちらを見た。

否定して欲しいのだろう。

そんなの嘘だ、君達は大事な教え子で、仲間だ…と、そう言って欲しいのだろう。

でも、残念ながらそれは言えない。

だって。

「…事実だよ」

ベリクリーデちゃんが言ったことは、紛れもなく事実だ。

「…そんな…」

さぁ、目に焼き付けろ。

覚悟していたことじゃないか。

信じてくれていた彼らが、事実を知って絶望するときの表情を。

あの日、神を降ろした二十音を殺せなかった愚かな私が、罰せられる時が来たのだ。