…シルナが。

裏切り者…だって?

「適当なことを…!」

「知らされていないんだろう、お前達は何一つ。かつて起きた聖戦の結末も。シルナ・エインリーに託された使命も。そして…邪神が、二十音・グラスフィアの中に封じられていることも」

「!?」

シルナが、何かを隠していることは知っていた。

でも、敢えて彼が何も言わないのなら、それは知るべきではないと思っていた。

シルナが教えるつもりのないことなら、俺達も知る必要はない。

…そのはずなのに。

「シルナ・エインリーの全てを知れば、誰一人この男の味方をするなどとは言えまい。お前達は飼い慣らされ、利用されているだけだ」

「そ、そんなこと…!」

「本人に聞いてみたらどうだ。この男に、出来ないことなど何もない。かつてやったことを、もう一度やれば良いだけなのだから。そうだろう?イーニシュフェルトの聖賢者」

「…」

ベリクリーデの問いかけに、シルナは真っ直ぐな目で見返した。