…ところで。

僕の特技は、なんと言っても探索魔法である。

炎魔法や、時魔法のような花形の魔法と比べると、大変地味だし、補助的な魔法だ。

そんなものが得意だなんて、僕は入学当初、クラスメイトと比べて少し恥ずかしかったものだ。

だが、イーニシュフェルト魔導学院の生徒は、皆優しかった。

僕を馬鹿にしたり、蔑んだりすることはなかった。

むしろ、珍しい魔法故に、自分にも教えてくれとせがんでくる生徒が何人もいた。

また、模擬戦の授業でも、僕は重宝された。

何せ、チームに僕がいれば、敵の位置が筒抜けになるものだから、策略も戦略も必要ない。

僕の敵に回ったチームは、最早隠れることも逃げ回ることも諦めてしまう始末。

これじゃあ授業にならないと、僕がいるチームにハンデをつけないかという意見まで出たくらいだ。

学院を卒業してからも、僕の魔法は重宝された。

地味で、直接的な攻撃力に欠ける僕の魔法を、シュニィさんは蔑ろにしなかった。

それどころか、聖魔騎士団魔導部隊の大事な戦力として扱ってくれた。

今回も、『禁忌の黒魔導書』探索の要として、僕の魔法を頼ってくれた。

僕には、直接敵と戦う力は、ほとんどないと言って良い。

それなのに、魔導部隊の皆は、僕を頼りにしてくれた。

僕を対等に扱ってくれた。

こんなに居心地の良い場所は、他にない。

ずっと探し求めていた、僕の居場所。

それを与えてくれたのは、他でもないシルナ・エインリー学院長だ。

だから。