中学校の入学式が行われる、一週間前のこと。
その日、両親と妹は、家族三人で仲良く出掛けていた。
弟と、その世話役の僕だけが、家に取り残されていた。
この家では、いつものことだ。
弟を外に連れていく訳にはいかないし、一人で家に置いていくことも出来ない。
一人で家に置いていこうものなら、何をするか分からないから。
従って、世話係の僕が家に取り残されて、仲良し家族の三人だけが、気兼ねすることもなく出掛けていくのだ。
絶望の淵に立たされていた僕は、ここ何日も、ぼんやりと過ごしていた。
いっそ首を吊ってしまおうか、という気持ちにさえなった。
そのときだった。
来客を告げるインターホンの音が鳴り響き、僕は現実に引き戻された。
慌てて立ち上がり、玄関に向かうと。
そこにいたのは。
「やぁ、こんにちは。エリュティア君かな?」
「え…?あ、はい…」
…見覚えがある。
この人は確か…イーニシュフェルト魔導学院の入学資料に顔写真が載っていた…。
…まさか。
「覚えてるかな?イーニシュフェルト魔導学院の学院長、シルナ・エインリーです」
彼は、入試説明会のときに見せたのと同じ、優しそうな笑みを浮かべた。
その日、両親と妹は、家族三人で仲良く出掛けていた。
弟と、その世話役の僕だけが、家に取り残されていた。
この家では、いつものことだ。
弟を外に連れていく訳にはいかないし、一人で家に置いていくことも出来ない。
一人で家に置いていこうものなら、何をするか分からないから。
従って、世話係の僕が家に取り残されて、仲良し家族の三人だけが、気兼ねすることもなく出掛けていくのだ。
絶望の淵に立たされていた僕は、ここ何日も、ぼんやりと過ごしていた。
いっそ首を吊ってしまおうか、という気持ちにさえなった。
そのときだった。
来客を告げるインターホンの音が鳴り響き、僕は現実に引き戻された。
慌てて立ち上がり、玄関に向かうと。
そこにいたのは。
「やぁ、こんにちは。エリュティア君かな?」
「え…?あ、はい…」
…見覚えがある。
この人は確か…イーニシュフェルト魔導学院の入学資料に顔写真が載っていた…。
…まさか。
「覚えてるかな?イーニシュフェルト魔導学院の学院長、シルナ・エインリーです」
彼は、入試説明会のときに見せたのと同じ、優しそうな笑みを浮かべた。