僕のことはあれだけ放置しておいた癖に。
母は、新しく生まれた弟に対して、過保護なまでに面倒を見た。
これは、僕にとっても意外だった。
子供というのは、放っておいて育てるものだと思っていたから。
自分がそうされていたものだから、それが当たり前だと思い込んでいたのである。
このときは、さすがの僕も弟に対して嫉妬した。
赤ん坊の頃の僕は、絶対にあんな風には可愛がってもらえなかった。
泣こうが喚こうが、ずっと放置されていた。
放っておかれることに、慣れてしまっていた。
それなのに弟は、泣く度に構ってもらえるのだから。
そんな理由があるから、僕が弟を可愛がらないのも当然だった。
でも、両親はそのことに気づかなかった。
二人共、僕が同性の兄弟を得て、喜ぶと思っていたらしく。
きっと僕も弟を猫可愛がりするものだと思っていたのに、可愛がるどころか嫌悪している。
母はそんな僕を「可愛いげがない」と言い、父はもっと楽観的で、「ある種の赤ちゃん返り」だと言った。
どちらも、とんだ的外れなのだが。
母は、幼い頃の僕に何をしたのか、今ではすっかり忘れているらしい。
親らしいことは何もせず、放ったらかしにしていたことも忘れている。
都合の悪いことは、何でも綺麗に忘れてしまえるらしい。
そんな事情があったから、僕は弟を可愛がることが出来ず、そのせいで両親とも上手く馴染めなかった。
新しい家は、相変わらず自分の家のような気がしなかった。
その一方で救いだったのは、学校だけである。
母は、新しく生まれた弟に対して、過保護なまでに面倒を見た。
これは、僕にとっても意外だった。
子供というのは、放っておいて育てるものだと思っていたから。
自分がそうされていたものだから、それが当たり前だと思い込んでいたのである。
このときは、さすがの僕も弟に対して嫉妬した。
赤ん坊の頃の僕は、絶対にあんな風には可愛がってもらえなかった。
泣こうが喚こうが、ずっと放置されていた。
放っておかれることに、慣れてしまっていた。
それなのに弟は、泣く度に構ってもらえるのだから。
そんな理由があるから、僕が弟を可愛がらないのも当然だった。
でも、両親はそのことに気づかなかった。
二人共、僕が同性の兄弟を得て、喜ぶと思っていたらしく。
きっと僕も弟を猫可愛がりするものだと思っていたのに、可愛がるどころか嫌悪している。
母はそんな僕を「可愛いげがない」と言い、父はもっと楽観的で、「ある種の赤ちゃん返り」だと言った。
どちらも、とんだ的外れなのだが。
母は、幼い頃の僕に何をしたのか、今ではすっかり忘れているらしい。
親らしいことは何もせず、放ったらかしにしていたことも忘れている。
都合の悪いことは、何でも綺麗に忘れてしまえるらしい。
そんな事情があったから、僕は弟を可愛がることが出来ず、そのせいで両親とも上手く馴染めなかった。
新しい家は、相変わらず自分の家のような気がしなかった。
その一方で救いだったのは、学校だけである。