僕達家族に生まれた、新しい命。

母が再婚してから、初めて生まれた子供だった。

生まれたばかりの弟を抱いて、両親共に嬉しそうだった。

しかし、僕は弟の誕生を、素直に喜べなかった。

と言うか、どうでも良かった。

弟を可愛いとは思わなかったし、かといって嫉妬していた訳でもない。

そう、生まれたんだ。良かったね。

この程度の感想だった。

このときはまだ、これが僕の後の不幸を招くことになるとは、思ってもいなかった。

そして、その同時期。

僕に、魔導適性があることが発覚した。

この経緯について、簡単に説明すると。

僕が転校した学校には、通常クラスに加えて、魔導師養成幼年学校も併設されており。

その関係で魔導適性試験を受けたところ、見事に引っ掛かったのである。

これには、僕も驚いた。

自分に魔導適性があるなんて、思ってもみなかった。

魔法なんて、使ったこともなかった。

魔導理論の勉強など、もっての他。

僕は学校の薦めで、通常クラスから、魔導師養成クラスに編入することになった。

そのときから、僕は魔導師としての道を歩み始めた。

しかし、両親はそんな僕に無関心だった。

実は僕、魔導適性があったんだ、と話しても、大した反応はなかった。

ちなみに母には魔導適性がないから、この魔導適性が遺伝なのだとしたら、父親から受け継いだということになる。

あるいは、遺伝子の突然変異なのか。

いずれにしても、僕達家族の家系には、魔導適性を持つ者はいなかった。

それだけに、僕の存在は異端だった。

魔導適性があるなんて、気持ち悪い、とさえ言われた。

両親はどうにも、魔導師という存在を、インチキ占い師のように認識しているようだった。

でも、学校の先生が僕を魔導師クラスに入れた方が良いと言うから、仕方ない。

そもそも母も父も、長男である僕に、それほど興味を抱いていなかった。

二人が関心を抱いているのは、生まれたばかりの弟だけだった。