毎日のように、考えない日はない。

もし学院長が僕を助けに来てくれなかったら、今頃僕はどうなっていただろうかと。

どう前向きに考えても、悲惨な未来しか見えない。

学院長に拾われるまでは、本当に酷い人生だった。

あのままずっと、学院長に拾われないまま生きていたらと思うと、ぞっとする。

同時に、僕のいなくなったあの家は、今頃どうなっているのだろうかと考える。

僕は学院長に感謝しかないが、しかし学院長は、そんな僕に対して、申し訳ないと思っているようだ。

とんでもない。学院長が僕を助けてくれたから、今僕はこの、居心地の良い場所にいられるのだ。

でも、僕には家族がいない。

この居心地の良い場所にいられる代わりに、僕は家族を失った。

だからこそだ。

学院長が、僕に申し訳なさを感じているのは。

自分が助けてしまったが為に、僕に家族を失わせてしまった。

でも、これで良かったのだ。

確かに、僕はそのせいで家族を失った。

僕自身も、家族に申し訳ない気持ちがある。

だけどそうしなかったら。

あのまま、家族のもとに残されていたら。

学院長が僕を助けてくれなかったら。

僕はきっと、廃人のようになっていただろう。