──────…気がついたときには、既にエヴェリカはそこにいなかった。

いや…エヴェリカなんて人間は、初めからいなかったのだが。

聖魔騎士としての仕事とはいえ、後味は悪かった。

突然のエヴェリカの失踪を、彼の家族はどう思うだろう。

第三帝国騎士官学校のクラスメイト達は?

考えても仕方ないことだが、どうしても考えずにはいられなかった。

…そして、彼女の言った、最期の言葉。

シルナには、記憶が曖昧だと言った。

でも、本当は覚えている。

シルナが本当は…何の為に聖魔騎士団を作ったのか…。

何の為に、仲間を増やしているのか…。

考えなかった訳じゃない。

疑わなかったと言っても嘘になる。

でも、俺はそれでも構わない。

俺と、前の俺がシルナを選んだように。

シルナもまた、俺を選んでくれたのだから。

















END