エヴェリカとエヴェリカ父を見送ってから。

俺は、シルナの待つ自宅に帰った。

すると。

「♪♪♪~。うーん…。『frontier』の曲はやっぱり良いなぁ…」

「…」

シルナは、パソコンを前にしてるんるんと鼻唄を歌っていた。

…うん。

…殺意沸いたんだけど、こいつめった刺しにして良いかな。

「…何やってんの?」

「あっ、羽久…。お帰り」

「ただいま」

「今ね、『frontier』の曲聴いてたんだよ。ルトリア君、歌上手だなぁ~」

こいつのこの呑気さは、何処から来てるんだ?

「…それで羽久。エヴェリカちゃんは?」

それを最初に聞けよ。

何で『frontier』の次なんだよ。

「危ないところだったよ。あのままじゃあいつ、己の運命悲観して、川に飛び込んでるところだった」

「えっ…。大丈夫だったの?」

「何とかな」

俺が止めに行かなかったら、本当に危なかったかもしれない。

「やっぱり…ご家族に?」

「話したみたい。でも、ちゃんと受け入れてもらってたよ」

「…!それは良かった…」

これでもし、受け入れてもらえてなかったら。

そんなこと絶対認めん、とか言われてたら。

今頃、もっと悲惨なことになってただろうな。

そうならなくて、本当に良かった。

「じゃあこれで…。エヴェリカちゃんの方は解決したんだね」

「…そうだな」

これで、全て一件落着。

エヴェリカは本当の自分を家族に打ち明け、時間はかかるかもしれないけど、きっといつかは受け入れてもらえる。

エガルテではなく、エヴェリカとして生きていける。

本当に良かった。

これでエヴェリカには、明るい未来が待っている…。