即刻、家族会議が勃発した。

母も、姉達も妹も、言葉もなく絶句していた。

そして。

いつもは温厚な父が、血相を変えてこう怒鳴った。

「そんなこと、絶対に認めん!」

父の第一声が、これだった。

胸にナイフを突き立てられたような気持ちだった。

認めないも何も、私は女なのであって、自分でもどうすることも出来ないのだ。

「アルヴァール家の嫡子ともあろう者が…!一体何を血迷ったことを!」

「血迷った、って…。自分でも、どうすることも出来ないんです…!」

私だって、ちゃんと心と身体の性別が一致して生まれてきたかった。

でも、出来なかったんだ。

それが出来たら、こんなに悩むことはなかっただろうに!

「父上にとって大事なのは、男としての『エガルテ』ですか」

「…!それは…」

「男じゃないと、跡継ぎじゃないとこの家の人間として認められないなら…私が、本当の私として生きられないのなら…!こんな家には、もういられない!」

「!エガルテ!」

私は涙を堪えながら、席を立った。

私が向かう先は、一つしかなかった。