てっきり、めちゃくちゃネタにされて、クラス中からからかわれまくるものだと思っていた。

「い…言わない?内緒にしてくれる?」

「するよ…。何で俺がそんな悪趣味を、人に言いふらすなんて悪趣味なことしなきゃならないんだよ」

悪趣味でごめんなさい。

何にせよ、内緒にしてくれるのなら有り難い。

「ありがとう。本当にありがとう。命の恩人だ君は」

「大袈裟な…」

大袈裟じゃない。

こんなこと、人に言い触らされたら生きていけない。

九死に一生を得た気分だ。

「…しかし、第三帝国騎士官学校三年次で一番優秀な主席生徒が、女装趣味とは。人は見掛けによらないって、あれは本当…」

「い、言わないで。それを言わないでって!」

「なんか喋り方もオネェっぽいし…」

え、そう?

「それは!だって…。これには事情が!」

「女装しなきゃならない理由って何だよ。脅されてんの?」

「お、脅されてはないけど…」

「じゃあ、何だよ。理由って」

「…それは…」

言えるものなら…言いたいが。

それを話すにはあまりにも…。

いや、でもネタにされたら困るし…。この人には心を許しておくべきか?

でも…家族にも言ったことないのにー。

出来ることなら、一生隠しておきたかった。

「それが…その、わた、いや俺…女なんだ」

「あ?」

「実は…。身体は男だけど…中身…心は女って言うか…」

「…」

…あ、死にたい。

絶句されてしまった。気まずい。