「…あ…」

目を覚ますと、真っ白な天井が視界一杯に飛び込んできた。

ここは…。

「気がつきました?」

「…?」

顔を横に向けると、看護師の女性が微笑みながら、そこに立っていた。

「大丈夫ですか?意識、はっきりしてますか?」

「…私…」

…何をしていたんだったか。

確か…夏期合宿に行って…。

…そうだ。

「ヴォイドは…。人質はどう…」

私はハッとして、起き上がろうとした。

途端、背中の傷の痛みに呻くことになった。

「…っ…」

「大丈夫ですか?無理しないでください」

そうだった。

私、背中を怪我したんだった。

「危ないところだったんですよ。シルナ・エインリー学院長が回復魔法をかけてくれたから、何とか一命を取り留めて…」

「…」

「傷痕も残らないそうです。もうしばらく休んだら、退院出来ますからね」

「…そうですか。ありがとうございます」

シルナ・エインリー教官が…助けてくれたのか。

何となくだが、覚えている。

彼が助けてくれなかったら…私は今頃。

「目が覚めたら、シルナ・エインリー学院長に伝えるように言われてるんです。呼んできますね」

そう言われて、私はドキッとした。

「…はい」

シルナ・エインリー教官がここに。

あの人と、今更どうやって顔を会わせられようかと思った。

でも、断る訳にはいかなかった。